夫婦や男女に関する問題

人は結婚して夫婦という家族になります。
もともと他人同士だった者が家族になることで、新たな世界が開かれ、人生がより豊かなものとなる反面、様々な軋轢が生じる場面も頻繁に訪れます。また、結婚により家族という新しい関係を生み出すことは、制約を生み出す側面もあります。

また、結婚にまで至らなくとも、男女関係をめぐる問題は非常に多様かつ複雑で、当事者同士では解決を望むことが難しくなることも少なくありません。
当事務所では、個々の事件の性質や各当事者の特質をよく見極め、形式的な法律論のみによることのない柔軟な解決を心がけています。

離婚について

国内における離婚件数は一昔前では想像もつかなかったほどに増え、今では2分に1件以上の割合で離婚が成立していると言われています。
離婚とはいうまでもなく夫婦であった男女関係を清算し、婚姻関係を解消するものです。
家族だった男女が家族以外に戻るには、それまでの家族関係を白紙に戻し、白紙に戻せない部分は、今後に向けて新たな関係を作る必要があります。
そのためには数多くの法律問題が生じ得ます。

離婚相談・離婚調停

離婚にはおおむね協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
協議離婚とは、夫婦の間で相談の上で離婚することをいい、離婚の条件なども相談により定めることになります。
相談で定める以上、離婚の条件は自由に定められることになり、裁判所における手続は不要です。

これに対し、調停離婚とは裁判所で調停委員会を仲介して当事者間で話し合いを行い、離婚するか否か、離婚する場合にはどのような条件にするかなどを話し合う手続です。
調停委員を介して話をするため、調停を行う際にはそれぞれの当事者待合室において調停委員の呼び出しを待って双方が入れ替わり立ち代わり行うこともできるため、相手方に直接会う可能性は高くなく、調停委員を介した柔軟な話し合いが可能です。

これに対し、裁判離婚とは、通常の訴訟と同様に、法廷で両者が離婚すべきか否かを争うことになります。
離婚を求める者を原告、求められる側を被告とし、双方が証拠等を提出して、場合によっては証人尋問などの手続を踏まえた上で、裁判所が離婚を認めるか否かを判断します。
ただし、訴訟手続の中で裁判所を介して双方当事者の相談による話し合いや和解も可能です。

これらのうち、裁判離婚は調停による離婚協議を行わないと、裁判を起こすことはできません。
これを「調停前置主義」といいます。

婚姻費用の分担の問題

婚姻中に別居生活が続いている場合、本来であれば夫婦が共同で負担すべき生活費が支払われない、主に妻の側が夫から生活費を受け取ることができず、生活が困窮してしまうといった事態が多くあります。
夫婦には、お互いの生活を自分の生活の一部として同レベルの生活を送れるよう、互いに相手を扶養する義務があります。
これを「生活保持義務」といいます。
その場合、生活保持義務を果たすために、お互いの婚姻関係から発生する費用、すなわち「婚姻費用」を分担する必要が生じます。

婚姻費用の分担は、夫婦間の合意で決まるのが原則ですが、それで決まらない場合には、婚姻費用分担の調停を起こし、合意が成立しなければ裁判所の審判により決めてもらうことになります。

財産分与

離婚が成立した場合、夫婦で結婚生活中に築いた財産を分与することが必要になります。
財産分与は、夫婦が結婚生活中に築いた財産は全て共有財産となるというのが基本的な考え方で、名義が夫婦の一方になっていることは関係ありません。
築いた財産に対する夫婦それぞれの貢献割合がどのようになるのかは個別のケースにより大きく異なるため、専門家による検討が必要になります。

不倫・離婚と慰謝料請求

結婚生活中の配偶者の不貞や夫婦生活への不協力、夫婦間暴力(DV)その他夫婦として互いの人格を尊重しないような行為により、精神的な損害を被った場合、配偶者に対して慰謝料請求をすることができる可能性があります。
慰謝料の額は各々の夫婦や行為の内容により大幅に異なりうるものではありますが、上に述べた財産分与等の問題と連動して、かかる慰謝料の額が検討されることにもなります。
具体的にどのような行為が慰謝料請求の対象となりうるのかについては個別具体的な事情を伺わなければならないため、まずは弁護士による相談及び助言が必要になります。

その他の問題

その他、男女や夫婦にはそれぞれ多種多様な問題が生じ得、解決方法も同様に多種多様に上ります。
中には離婚を決意して相談に来られた方が調停を経て復縁された場合など、当初想定していなかった結果を生む場合も存在するため、一概に普遍的な方法を示すことは難しいのが現状です。
そのため、我々としては、何らかの問題を抱えた場合にはまず弁護士による適切な法的助言を受けることが必要と考えています。